耐力壁(たいりょくへき/たいりょくかべ)とは、建築物において、地震や風などの水平荷重(横からの力)に抵抗する能力をもつ壁のことを示す。
耐力壁とほぼ同じ意味の単語として耐震壁がある。
窓やドアの開口が大きく空いている壁は耐震壁ではありません。マンションでいえば、自分の部屋と隣の部屋とを仕切っている壁。これは耐震壁である可能性が高いです。なぜなら、開口が一切ないからです。
耐力壁は横揺れに強い
地震の多い国、日本。一生安心して暮らせる住宅を建てるために、耐震性の大切さは誰もが実感している事実です。建物に対して、横に揺れる力を支えるのが耐力壁です。地震が起きた時、縦揺れは建物の柱が支えてくれますが、横揺れは、柱の力だけでは支えることができません。 そこで、横揺れに強い建物にするために、通常より頑丈に作られた壁が「耐力壁」なのです。特に、木造住宅は、鉄筋コンクリート造(RC構造)や鉄骨造に比べて、横揺れに弱いという特徴があります。その理由は、床や壁、天井などの接合部分の弱さにあるといえるでしょう。 木造住宅は、床、壁、天井などの接合部分が、鉄筋コンクリート造(RC構造)や鉄骨造ほど強くは結合されていません。これを解決するために、考えられたのが「耐力壁(たいりょくかべ)」です。 この耐力壁を、適切な量とバランスで設置することは、建築基準法で義務付けられています。この耐力壁を設置することで、木造住宅も、鉄筋コンクリート造(RC構造)や鉄骨造に劣らないほどの、横揺れへの強さを実現することができるのです。 木造住宅の耐震性には、必要不可欠な壁といえるでしょう。そんな木造住宅の耐力壁は、下記の通り、建築工法別に2種類に分かれています。
工法の種類 | 工法の概要 | 耐力壁の種類 |
軸組工法 | 柱や木材を使って骨組みを作り、家を建てる方法 | 筋交い |
枠組壁工法(ツーバイフォー) | 地震に強い壁や床、天井などの「面」から家を建てる方法 | 構造用面材 |
鉄筋コンクリート造(RC構造)の耐力壁
鉄筋コンクリート造(RC構造)は、主にマンションなどを建築する際に使われます。なんと19世紀からすでに存在している工法で、鉄とコンクリートの弱点を補い合って、強さを合体させるという特徴があります。鉄筋コンクリート造(RC構造)は、柱と梁が強く結合していて、剛性が高い構造です。ただし、木造建築に比べて重さがあるため、地震の力はその分大きくかかってくることになるでしょう。また、壁の配置が偏っている場合にも、地震の揺れに対して弱くなります。 このように、構造上では強い建物ですが、どのような設計で建築されているのかという点で、耐震性に大きな差が生まれてくるのが鉄筋コンクリート造(RC構造)の耐力壁です。鉄筋コンクリート造(RC構造)にも、下記の通り、2種類の耐力壁があります。
工法の種類 | 工法の概要 | 耐力壁の種類 |
ラーメン構造 | 柱と梁が一体になった構造 | 部屋と部屋を仕切る壁が耐力壁 |
壁式構造 | 柱や梁がない構造 | 建物の外側の壁のほとんどが耐力壁 |
リフォームすると耐力壁はどうなるの?
リフォームやで間取りを変更する場合、耐力壁を移動したり、開口部を設けたりすることはできるのでしょうか。
木造住宅の場合、耐力壁を撤去して広い空間をつくる、耐力壁に大きな窓を設けるなどのリフォームは、技術的には不可能なことではありません。
しかし、耐力壁を新設する場合、その家の状況によっては基礎工事が新たに必要など、場合によっては大きな費用がかかることもありますのでよく相談して決めることをお勧めいたします。